1980年代を代表するイギリスのHR/HMバンド:デフ・レパードが1992年にリリースした一枚。
1983年の「Pyromania」1987年の「Hysteria」が共にメガセールスを記録し名実共にNo.1メタルバンドとして君臨していた彼らですが、その間には様々な不幸な出来事がありました。ドラマーのリック・アレンが交通事故で片腕を切断、ギターのスティーヴ・クラークが急性アルコール中毒で死亡と度重なる不幸がバンドを襲いましたが、その度に不死鳥のように蘇って名盤をリリースし続けてきたのが彼らです。
リックの事故の後には特製のドラムセットを使用して「Hysteria」をレコーディングし、スティーヴの死後リリースされた本作ではもう一人のギタリストのフィル・コリンが二人分のパートを弾きレコーディングを行いました。前作が1500万枚という特大のセールスを上げたためそれに比べると見劣りしますが、それでも全米で5週連続No.1という記録を作っています。
サウンドは相変わらずのデフ・レパード節で、疾走感のある曲とは少し違いますが重厚感のある煌びやかさを感じさせるメタルサウンドです。前作にあった捨て曲も無くなり楽曲の充実度は随一です。コーラスを多用するところは相変わらずです。前二作でプロデュースを担当したジョン・マット・ラング(ランジ)からプロデューサーが変わりましたが、更にアメリカ受けしそうな洗練されたサウンドになっています。能天気なアメリカのバンドとは少し違ったいかにもブリティッシュバンドを感じさせるサウンドですが、ややアメリカ寄りになったという感じがします。
「Hysteria」は当時HR/HMバンドのアルバムとして最高の売り上げを記録し評価も一番高い作品ですが、僕は「Hysteria」よりもこちらを最高傑作として挙げたいと思います。理由はやはり楽曲のクオリティの高さ。ややアメリカ寄りというかキャッチーな曲が多いですがその分耳に残る曲が多く、前作のように「後半弱い」ということも無くボーナストラックの2曲も良いので最後まで飽きずに聴けます。
しかしギタリストのスティーヴの存在は大きかったようで、彼がソングライティングのメインを担っていたこともあり彼の死後はパッとした曲があまり作れなくなったように感じます。現に売り上げは「Pyromania」から「Adrenalize」までの3作がピークで、その後はメタルブームの終焉と共に人気も下降気味です。しかしまだまだイギリスでもアメリカでも根強い人気を誇っていて、80年代メタルバンドの生き残り組の中では現在でも健闘しています。
正にこの作品と共に80年代メタルブームが終焉したと思える名作。デフ・レパードの黄金時代三部作を締めくくるのに相応しい名盤です。


