ボン・ジョヴィ3作目の「Slippery When Wet」がウルトラメガヒットになり、80年代メタルブームの起爆剤になったのは1986年。あの頃は日本でもAXIAのTVCMに彼らが登場し、お茶の間にまで「今メタルが売れてる」ことが浸透したメタル黄金時代でした。その後次々に名作(や迷作)がリリースされ、メタルブームは90年代序盤まで続きます。その立役者たるボン・ジョヴィが、ブーム最高潮の88年に発表した入魂の一作そして最高傑作が、この4作目「New Jersey」だ!!!!
日本のバンドにもよくある話で、最初はレーベルの意向でビジュアルを重視したりポップな曲をたくさん作ったりしていても、いざ売れると「自分たちの本当にやりたいこと」を打ち出して、次作は内容の濃いのを出してきます。ボンジョビも同じで、1st・2ndはイマイチだったけど日本で人気があるので行ってみたら伊藤さんという人と仲良くなり、その後外部のソングライターを雇って「売れる曲」を綿密に作って大ヒット、そして次作で「俺たちの志向するのはこういう曲なんだ!」と媚びない本気のロックアルバムを作りまたまた大ヒット。伊藤さんは「彼らをビッグにしたのは俺なんだよ」と鼻高々でした。あれから早20年…。
Voのジョンは映画「フットルース」の主演俳優として、ケビン・ベーコンと最後まで候補に残り、「自分は音楽がやりたいから」とバンドに専念することにした、という逸話があるそうです。つまりルックスが良かったわけで、80年代当時の音楽シーンは「アーティスト志向」だけではダメで「アイドル性」が多分に必要だったので、それも大成功した要因の一つ。そしてもう一つは、3作目収録の"Livin' on a Prayer"つまり最大のヒット曲が「信仰心」を歌ったものであることが最大の要因でしょう。REMにしてもU2にしても、その手の曲が大ヒットしたからこそ今の地位があるわけで、この辺はアメリカのお国柄なのかそれとも戦略なのか、スターを目指すなら頭に入れておこう。
当時の記録を思い出すと、3rdは1400万枚売れシングル2曲がNo.1、4thは800万枚売れシングル5曲がTOP10入り&うち2曲がNo.1でした。3rdはエポックメイキングな一作と言え、つまりハードロック(へヴィメタル)にキーボードなどのPOPな要素を入れつつ尚ハードロックとして成立させるという、「産業ロックにならないよう上手にPOP化する」ことを確立した一枚でした(確か当時のBURRN!の見解もそんなだったはず)。そしてこの4thはその路線が更に昇華され、とてもハードなロック(メタル)サウンドですが、それがAC/DCやGuns N' RosesのようなロックンロールではなくDEF LEPPARDのような重厚なロックサウンドでもなく、極めてボン・ジョヴィ的な「POPな要素を絶妙に盛り込んだ80年代メタルサウンド」として成立しています。彼らのサウンドはこの4作目で頂点に達し、僕は前作など比較にならないくらいの名盤だと自信を持って断言!(←伊藤さん風に)
前作は捨て曲もあったし、個人的に"You Give Love a Bad Name"はあまり大した曲でないと思ってますが、この「New Jersey」は文句のつけようが無い"80年代メタル史上5指に入る傑作"だと思います。とにかくシングル曲もシングルカットされなかった曲も全て良曲で、当時流行っていたブルース要素も上手く取り入れています。曲のテンポの緩急、雰囲気の明暗、聴き所のギターやシャウトなど皆上手くまとまっていて、今聴き返すと本当に素晴らしいアルバムだなあと思います。
事実ボンジョビのヒット曲のほとんどは3rdと4thに収録されており、つまりこのアルバムが頂点なわけです。この後はメンバー間の不和やメタルブーム終焉などでやや不調でしたが、最近はカントリー調のロックで突き抜けた曲を演ってまだまだ健在です。彼らとの共作で一躍名を上げたデズモンド・チャイルドやVoのジョンにGtのリッチー・サンボラ、皆90年頃にソロ作を出してました。ジョンは映画「YOUNG GUNS 2」の主題歌を歌ってNo.1になってましたが、ああいうカウボーイイメージをチョイスしたのは賢い選択だったかも。バッドボーイズ的な印象とは無縁だったし、だからこそ今でもカントリーを歌って聴いてもらえるんだし。
ただ当時、彼らは「チャートが欲しい売れ線ロック」みたいに思われて一部の人たちには悪口を言われてました。僕も学校で「本当にロックが好きならボンジョビなんて聴いてちゃ駄目だよ」とかのたまってた記憶が…。まー若かりし頃の愚考ですが、今聴いてもマジでこのアルバムは最高なので、CD屋でもピラテリアでもどっちでもいいから今すぐ買いに行け、Los Perro!!


